歯磨きだけじゃない、口腔ケアと食事の関係

突然ですが、「8020(ハチマルニイマル)運動」をご存知ですか?
これは厚生労働省と日本歯科医師会が推進する「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう!」という運動です。
成人の歯は親知らずを除いて28本が標準と言われていますが、20本というのは食事を美味しく食べられる本数の目安なのだそうです。
この運動の甲斐あってか、80歳時での歯の本数は増加傾向にあるようで、2017年6月に厚生労働省が発表した「歯科疾患実態調査の概要」によると、80歳の平均本数は16.7本でした。
そんな歯の健康を守るためには、普段からの口腔ケアがとても大事だと言われています。
今回は歯磨き以外の口腔ケアのお話です。

【歯磨きだけでは不十分??】

他の器官と同じく、口腔内も年を経るにつれ衰え始めます。
代表的なものでは、歯茎が痩せて歯がぐらつきやすくなっていたり、唾液の分泌量が減ったりなどが挙げられます。
これらが起こると、今まで通りの歯磨きだけではケアが不十分になる可能性があります。
特に唾液は口腔内の健康を維持するためにとても重要な存在で、口内の乾燥を防ぐだけでなく、虫歯の予防や食べ物の消化にも関わっています
この分泌量の低下という問題は、歯磨きだけでケアするのは難しいようです。


【よく噛んで、よく飲む】

唾液は食事をよく噛むことで分泌量が増えます。
また、よく噛んで食べることは脳への刺激となるため、認知症の予防という嬉しい効果も得られます。
意識して噛む回数を増やして、唾液の分泌を促しましょう!
なお、歯ごたえのあるものを食べるのも噛む回数を増やすという点では効果的ですが、先に述べた歯茎の衰えで食べ物が詰まりやすくなったり、歯の強度そのものが落ちている場合もあるため、無理をしてまで固いものを食べる必要性はありません
また、食事をしていない時には、こまめな水分補給を心がけると良いでしょう。
もともとシニア層は喉の渇きを感じにくく、水分補給がおろそかになりがちな傾向があるため、ある程度時間を決めて水分を摂るようにするのがおススメです。
水分は一度にたくさん飲むよりも、小刻みに少量ずつ口に含むようにすると効率良く補給することができ、口腔内の乾燥も抑えることができますよ。

年をとっても毎日健康で美味しいものを食べたい、というのは誰もが望むことだと思います。
しかし、口腔内の健康が損なわれてしまうと食べられるものも大きく制限されてしまうため、食事の楽しみが半減してしまいます。
その結果、食欲そのものが落ちてしまい、栄養失調になってしまうケースもあるそうです。
シニア層の方にはぜひ、口腔ケアをしっかり行って頂いて、美味しい食事を楽しんで頂きたいですね。

Text by はむこ/食育インストラクター