歳時記を知ろう⑦

今回は12月の歳時記をご紹介します。

【歳時記とは】

当初、歳時記(歳事記)は太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。
現在では、「食の歳時記」や「暮らしの歳時記」・「季節の歳時記」といった様々な形で行事や四季を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。
※太陰太陽暦にも様々な計算方法があり、その中で太陽暦に変わる直前まで使用されていた「天保暦」を一般的には「旧暦」という事が多いようです。

【師走(しわす)】

師走は12月の別名です。
諸説ありますが、「師があわただしく走る(馳せる)月」から転じたとする説が有力です。
正確な語源は定かではないとされています。
その他、「年が果てる」や「四季の果てる月」等の説もあるようです。

【12月の行事など】※2017年の旧暦を基に日にちを出しています。

7日:大雪(たいせつ)
雪が本格的に降り出す頃
雪が多く降る地方では、雪の重みで木が倒れたりしない様に「雪吊り」と呼ばれる作業をし、木を保護します。
(地域によっては11月から作業を開始しているところもあります。)

8日:事始め・針供養(ことはじめ・はりくよう)
使っている間に傷んでしまった針を供養すると共に、縫物が上達するようにとの祈りを捧げる日
「事納め」と呼ぶ地方もあります。
針は固い物に刺して使う事が多いので、針供養の日だけは作業をせずに豆腐やコンニャクの様な柔らかい物に刺して神社に納めます。
2月8日に行うところもあります。

13日:正月事始め・煤払い(しょうがつことはじめ・すすはらい)
昔は12月13日を正月事始めとし、一年の汚れや厄を落とす「煤払い」を行って、年神様を迎える準備をしていました。
現在は「クリスマスが終わるとお正月」という気持ちになる方も多いかもしれませんが、クリスマス文化が日本に根付く前は、お正月前の大きな行事のひとつでした。

22日:冬至(とうじ)
太陽の位置が一年で一番低い所に来る、もっとも日が短い日です。
冬至は太陽が生まれ変わる日とされ、力が弱くなった太陽が冬至を境に蘇ると信じられてきました。

23日:天皇誕生日※2017現在
今上天皇(現在の天皇)の生誕日。
天皇陛下の誕生を祝い祝日となっています。

31日:大晦日(おおみそか)
あまり知られていませんが、毎月の月末を晦日(みそか)といます。
12月は一年で最後の晦日なので、「大晦日」と呼ばれます。
※月が隠れてしまう日で「つごもり」という意味もありますが、三十日が転じて「みそか」というようになったそうです。


【味覚】

白菜・春菊・ねぎ・かぼちゃ・セロリ・にら・ゆず、みかん
鰤・かます・ぼら・鮭・鱈・あんこう・ずわいがに・牡蠣・鯉 など

【冬至の食べ物・年越しの食べ物】

冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないといわれますが、「ん」の付く食べ物をお供えする「運盛り(うんもり)」という習慣に由来します。
かぼちゃは「なんきん」とも呼ばれ、冬まで貯蔵出来る野菜のひとつでした。
今の様に飽食の時代でなかった頃は、冬の食糧源とし重宝されていたのですね。
「ん」の付く食べ物は他にもたくさんありますので、運盛りにあやかって色々探してみるのも楽しいですね。
「ん」が二回重なる食べ物がより良いといわれていますよ。
冬至の食べ物はかぼちゃの他、小豆の赤が魔除けに良いとされ、小豆粥や小豆団子、赤飯をいただきます。
また、冬至(大晦日や節分など)に食物繊維豊富なこんにゃくを頂いて体の中をきれいにする「砂おろし(砂はらい)」という習慣もあります。

年越しの食べ物といえば「年越しそば」
江戸時代、忙しい月末に町民がそばを食べていたことに由来するとされています。
地方によって、長寿そば(そばの様に細く長く生きられるように)・福そば(金運が上がるように)・運気そば(運気が上がるように)といった呼び名や意味合いがあります。
薬味に添える葱は、神職の役職のひとつである「禰宜(ねぎ)」や「疲れをねぎらう(労ぐ(ねぐ))」・「祈る(祈ぐ(ねぐ))」にかけて、ねぎらいと新年を願う意味がこめられています。
そばの他、「年取り魚(としとりざかな)」といって、大晦日の夜に鮭(東日本)や鰤(西日本)を食べる風習もあります。

今年も残すところあと一ヶ月ですね。
歳時記を通して、四季を感じる事が出来た年になりました。
皆さんはいかがでしょうか。
少しでもお役に立てていたら幸いです。
来年も素敵な一年になりますように…。

Text by ゆず/食育インストラクター