イワシがたくさん手に入ったら!?「オイルサーディン」を作ってみよう!!

昔から日本人にとってなじみ深い魚「イワシ」。
味はもちろんのこと使い勝手もよいことから刺身やつみれ、煮付け、缶詰などの加工品など幅広く活用されています。
私たちの食卓によく登場するのは「マイワシ」ですが、マイワシは梅雨に入る季節から初秋にかけて最盛期を迎えます。

【イワシの主な種類】

イワシは漢字だと「鰯」と書きます。
この理由は諸説ありますが、水から揚げるとすぐに死んでしまうことから「弱し(よわし)」が変化したという説が有力です。
刺身や煮付けなど食卓に上がるのは主にマイワシですが、このほかに「ウルメイワシ」、「カタクチイワシ」と大きく3つに分けられます。

●マイワシ
体の側面に「7つ星」と呼ばれる黒い斑点が並んでいるのが特徴です。
マイワシは成長によって呼び名が変わる出世魚で、小さいものから「タツクチ」⇒「コバ(小羽)イワシ」⇒「チュウバ(中羽)イワシ」⇒「オオバ(大羽)イワシ」と呼ばれています。
脂がのっておいしいのは、6~9月。
特に脂がのった梅雨時期に獲れるものは「入梅イワシ」、「梅雨イワシ」という名で店頭に出回ることがあります。
一時不漁が続き、価格が高騰しましたが、ここ最近は回復し、比較的安価で手に入りやすくなっています。

●ウルメイワシ
目が大きく、うるんで見えることから「ウルメイワシ」
という名がつけられています。
ウルメイワシは3種のなかでは脂の量が一番少なく、干物にされることが多い魚です。
鮮度が落ちるのがとても早く、鮮魚としての流通に適していないので、スーパーなどにはあまり出回りません。

●カタクチイワシ
マイワシやウルメイワシがニシン科なのに対し、カタクチイワシはカタクチイワシ科に分類されています。
マイワシに比べ、細く小さいのが特徴で、地域によっては「セグロイワシ」とも呼ばれています。
ほとんどが煮干しなどの加工品に使われ、鮮魚として店頭に並ぶのはほんのわずかしかありません。
稚魚は私たちもよく知っている「シラス」です。

【おいしい「マイワシ」の見分け方】

背が青みがかり、光沢と張りがあるもの、目が赤くなっておらず澄んでいるもの、ウロコが残っているもの、黒い斑点がくっきりしているものが新鮮です。
また、体が筒状で太いもの、頭が小さいものは脂がのっているとされています。
イワシは鮮度が落ちるのがはやい魚です。
購入したらなるべくはやくに調理するのがおすすめです。

【オイルサーディンとアンチョビは何が違うの?】

簡単に言うと、オイルサーディンは「調理済みの油漬け」、アンチョビは「塩漬けにして熟成させた油漬け」です。
オイルサーディンは主にマイワシやウルメイワシを原料としています。
名についている「サーディン」は、マイワシをはじめとした小魚のことを言います。
作り方はいろいろありますが、頭と内臓を取り除いた小魚を、植物油、香辛料などと一緒に加熱して漬け込むのが一般的です。
アンチョビは主にカタクチイワシを原料としています。
塩漬けにして頭と内臓を取り除いた小魚を缶や瓶に詰め、植物油を注いで密封して作られます。
イタリアやスペインなど地中海や大西洋に面した地域で多く作られている加工品です。


【イワシの嬉しい栄養】

イワシの脂には、脳の働きをよくするDHAや、動脈硬化予防に役立つIPA(EPA)が豊富に含まれています。
また、イワシのたんぱく質は体内で分解され、「イワシペプチド」という成分に変化します。
イワシペプチドは、特定保健食品(トクホ)にもなっていて、血圧を上げないという作用があります。
イワシの骨はやわらかいので、つみれや煮付けなどにすると骨までおいしく食べられ、カルシウムを摂ることが出来ます。
ビタミンDも多く含まれているため、カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にし、骨粗しょう症予防にもつながります。

【自家製「オイルサーディン」を作ってみよう】

新鮮なマイワシがたくさん手に入り、すぐには食べきらないというときに「オイルサーディン」を作ってみてはいかがですか?
煮沸消毒をした保存容器に入れて冷蔵庫で保存すれば、1~2週間は日持ちしますよ。

<材料>
マイワシ(3枚におろしたもの)・・小6~8尾
Aにんにく(薄切り)・・1かけ
Aローリエ・・1~2枚
A赤唐辛子(種を除いたもの)・・1本
A黒こしょう(粒)・・小さじ1
オリーブオイル・・100ml~
サラダ油・・200ml~

<作り方>
1.
イワシは水で洗ってから5%の塩水につけて冷蔵庫に入れ、30~40分ほどおく。
時間が経ったらペーパータオルで水気をしっかり拭き取る。

2. 小さめのフライパンや鍋にイワシを並べてAを上にのせ、イワシが隠れるくらいまでオリーブオイル・サラダ油を入れる。

3. 弱火にかけて1時間ほど煮たら、煮沸消毒した保存容器に移す。
※イワシを煮る時にグラグラさせてしまうと身が崩れてしまうので、小さな気泡が出る程度の火加減でじっくりと煮てください。

出来上がりをすぐに食べるよりも、冷蔵庫でしばらくおいておくとオイルがなじんでよりおいしいですよ!
パスタやトーストしたバゲットにのせて食べるのはもちろん、トマトと一緒に炊き込んだ、炊き込みご飯もおすすめです。

おいしいだけでなく、骨まで食べられて栄養満点な今が旬のマイワシをさまざまな料理で楽しみましょう!!

Text by まち/食育インストラクター