生活習慣病ってなんだろう?~腎臓病編~

厚生労働省の調査によると、平成26年の慢性腎臓病の総患者数は約30万人。
今回は、生活習慣病の一種である「腎臓病」についてのお話です。

【腎臓ってどんな臓器?】

腎臓は、背中側の腰のやや上部に左右1つずつあります。
健康な腎臓はそら豆のような形をしていて、握りこぶしほどの大きさです。
腎臓1個の中には、約100万個のネフロン(糸球体と尿細管)と呼ばれる血液のろ過装置があります。
心臓から送り出された血液をろ過して綺麗な状態を維持し、老廃物は尿として排出します。
また、体の水分を一定に保ったり、腎臓から分泌されるホルモンで血圧をコントロールする働きもあります。

【新たな国民病、「CKD」って何だろう?】

皆さんは「CKD」という言葉を耳にした事はありますか?
「CKD」とは、「Chronic Kidney Disease」の略で「慢性腎臓病」を意味し、慢性に経過する全ての腎臓病を指します。
「CKD」は初期には自覚症状がほとんどなく、知らないうちにどんどん進行してしまう危険性があるので注意が必要です。

【腎臓の機能が低下すると…】

腎臓の機能が低下すると、たんぱく質が吸収されないまま尿に排出されてしまう「たんぱく尿」が起こり、栄養障害を引き起こします。
たんぱく尿は、排尿時に尿が泡立ち、なかなか消えないという特徴があります。
その他、腎臓や膀胱の尿路に何らかの障害があると、血尿が出る場合も…。
また、余分な塩分が体内に貯まり、目の周囲→顔や手足の順にむくみが見られたり、高血圧になったりします。


 【原因は?】

●多くは感染症から
腎臓の機能が低下する代表的な病気が、腎炎ネフローゼ症候群です。
腎炎には、急性と慢性があります。
急性腎炎は、カゼなどの感染症にかかった時に侵入した細菌やウイルスによって起こります。
腎機能が圧倒的なダメージを受ける前に症状が出るので、早期治療すればほとんど完治します。
しかし、慢性化する場合も少なくありません。
慢性腎炎を放っておくと腎機能が著しく低下する恐れがあります。
ネフローゼ症候群は、原因がはっきり解明されていませんが、急性腎炎が慢性化する事で引き起こされる場合もあります。
感染症は、栄養の偏った食事やストレス、疲労が積み重なって体の免疫力が下がるとかかりやすくなります。

●生活習慣病も関与
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病も腎機能を低下させます。
なかでも糖尿病の3大合併症の1つに糖尿病性腎症があります。
毎日の生活習慣は、見えないところでも積み重なり、健康に影響を及ぼしているのです。

【適量・適塩を心掛けよう!】

ここでは、CKDにならないための食事のポイントについてお話ししていきます☆

●たんぱく質を「過不足なく」摂る
たんぱく質の摂り過ぎも不足も、腎臓に負担をかけます。
たんぱく質は代謝する際に様々な老廃物を出すため、摂り過ぎると腎臓に大きな負担がかかります。
とはいえ、たんぱく質は細胞の再生に不可欠なので、適量を食べるように心掛けましょう。
1食に卵なら1個、鯵なら中1尾、ササミや鶏むねなどの低脂肪の肉なら50g位が理想的です。

●エネルギー不足に注意
エネルギーが不足すると、体を構成しているたんぱく質が分解されて腎臓に負担をかけたり、カリウムが血中に流出し、「高カリウム血症」になる恐れがあります。

●塩分を摂り過ぎない
塩分を摂り過ぎると、むくみや高血圧を助長して高血圧がさらに腎臓を傷める悪循環をもたらします。
塩蔵品や漬物、ハムなど塩分の多い食品に注意し、香辛料や香味野菜を利用して無理なく上手に減塩しましょう。

●ストレスや疲労を避け、免疫力を高める
風邪や扁桃炎から腎臓病になる事があります。
朝食をはじめ、1日3食きちんと摂り、免疫力をアップしましょう!

CKDになった場合は、医師の処方に従って腎臓に負担がかからない食事をしてください。

私たちの体を作り上げているのは、日々の食事です。
食生活を見直したり、健診で尿や血圧の検査をして自分の体と向き合ってみる事が、元気で長生きする未来に繋がるかもしれません。

Text by ろい/食育インストラクター