日本のハーブ豆知識①

「ハーブを3種類ほど思い浮かべてみて下さい」
…こんな質問をされたら、多くの方がラベンダーやバジル、コリアンダー(パクチー)といった、日本以外を原産とするハーブを思い浮かべるのではないでしょうか?
ですが、本来ハーブとは薬理作用を持つ風味付けの植物を指す言葉であり、原産がどこであるかは重要ではないのです。
このため、私たちにとって身近な食材が、実はハーブだった(!)ということもあるのです。
今回はそんな日本のハーブのお話です(なお、今回はスパイス=植物を乾燥させた調味料という考え方に基づいて記述しています)。

1.わさび
日本人の食事と密接に関わりすぎているために意識されないことも多いのですが、わさびも立派なハーブの1種です。
あのツーンとくる香りや刺激は唾液や消化液の分泌を促進させる効果があり、食欲増進に働きます。
その他、アリルイソチオシアネートと呼ばれる、抗菌作用やガン予防に働く成分が含まれています。
この成分は熱に弱い特性があるため、生のまま食べる刺身とは相性抜群です!
ちなみに、粗目にすりおろすと辛味や刺激を抑えられるので、味の調節を効かせやすい食材なのも魅力です。

2.しそ(大葉)
料理にさっぱりとした風味を加えるために使うことが多い食材ですが、この使い方そのものが西洋のハーブと一緒ですよね。
しそは日本を代表するハーブの1つと言えるでしょう。
しその香り成分であるぺリルアルデヒドには食欲増進効果、そして抗菌作用があります。
また、免疫力を高めるβ‐カロテンが含まれていて、その吸収率を高める油脂との相性が良いのも特徴です。
他にも、ロズマリン酸と呼ばれる成分がアレルギー症状を抑える働きを持つため、花粉症対策などで注目を集めています。

3.よもぎ
現代では料理よりも和菓子で馴染みのある方の方が多いかもしれません。
また、よもぎ蒸しやアロマなど、食べない使い方をされている方もいらっしゃるでしょう。
色素成分のクロロフィル(葉緑素)は、血中コレステロール値を下げる働きがあり、動脈硬化の予防効果が期待されています。
さらに胃腸の老廃物を吸着させて体外に排出する効果があるため、デトックスにも役立ちます。
香気成分のシネオールにはリラックス効果があるため、アロマでの使い方が多いのも納得ですね。

 

 


わさびはもちろん、しそも薬味に使われることが多い食材です。
こうして改めて考えると、日本料理は薬味という形で様々のハーブを好みに応じて使用しているのがわかります。
薬という字が使われているだけに、その薬理作用が解明される前から、生活の知恵として伝わっていたのですね。

 

Text by はむこ/食育インストラクター