柑橘だけど「グレープ」フルーツ!その由来は??

柑橘コーナーには必ずと言っていいほど置いてあるグレープフルーツ。
独特の苦みはありますが、はっきりした酸味で後味も爽やかなので、愛好家もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
今回はそんな「グレープフルーツ」のお話です。

【葡萄の仲間ではない!】

見た目といい香りといい味といい、どう考えても柑橘系の果物のはずなのに「グレープ」フルーツ
まさか突然変異で葡萄と掛け合わさった…?なんてことはありませんのでご安心(?)を!
この名前の由来となったのは、一本の枝からいくつもの実がなるという葡萄のような性質を持つためです。
実が色づく前の緑色の状態なら…巨大な葡萄に見えないこともない??
18世紀の西インドで産出され、意外にも自然交配種なんだそうです。
文旦に連なる種ということは明らかになっていますが、鈴なりに身を付ける理由は解明されていないそうです。
その後はアメリカのフロリダ州へともたらされ、現在ではグレープフルーツと言えばフロリダと言われるほどの一大産地へと成長しました。


【日本とグレープフルーツ】

現在日本で出回っているグレープフルーツは95%以上が輸入品です。
同じ柑橘の果物と同じように、四国や九州といった温暖な地域なら栽培できるのでは…?と思われがちですが、原産地が亜熱帯のグレープフルーツにとってはそれでも寒すぎる環境ですし、四季による寒暖差も好みません。
それならハウス栽培でつくればどうだろうと安易に考えてしまいがちですが、コストと収穫量が見合わないためあまり現実的ではないのが実情のようです。
ちなみに、同じようにほぼ輸入品で国内の需要をまかなっているフルーツにはバナナがありますが、こちらもハウス栽培には消極的です。
土地の気候に馴染まないということが、農作物を育てる上でどれだけ大変なことなのかを物語っているようですね。
それから、年間を通してグレープフルーツがスーパーで販売されているのは、アメリカだけではなく様々な国のものが混ざっているためです。
アメリカ産のものは4月に旬を迎えますが、それから輸送のために日数がかかっていることを考えると、今の季節は丁度食べ頃のものが出回っているといえます。

最近の果実は甘味の強いものの方が好まれる傾向にあるようです。
また、輸送時に使用する防カビ剤による影響を懸念する声もあり、グレープフルーツの輸入量・消費量は年々減少傾向にあるそうです。
とはいえ、どんな季節でも安価で手に入る柑橘類というメリットは大きく、美肌効果のあるビタミンCの補給源として優秀で、ビタミンCの効果を高めるビタミンAが豊富な緑黄色野菜と組み合わせるのも効果的です。
グレープフルーツの甘すぎない爽やかな酸味はドレッシングなどに加えても風味が増すので、たっぷり野菜のサラダを食べる時にはおススメですよ!

Text by はむこ/食育インストラクター