ひな祭りだけじゃない!女性の味方甘酒

ひな祭りだけじゃない!女性の味方甘酒

幼い頃、ひな祭りの一番の楽しみは甘酒を出してもらえることでした。
3月初頭はまだまだ寒い日の方が多く、熱々の甘酒をちびちび飲んでいると、冷えた体の中からじんわりと温かくなってくるのが好きだったのです。
甘酒は冬から早春にかけていただくイメージですが、俳句での季語は夏(!)なんです。
今回はそんな意外な「甘酒」のお話です。

【酒粕?】

一口に甘酒と言っても、どれも同じものではありません。
大きく分けて2つ、酒粕から作ったものと米麹から作ったものがあります(ブレンドする場合もありますが)。
大きな特徴は

・アルコールを含むかどうか
米麹はほぼ含みませんが、酒粕はアルコールが残ることがあります。

・砂糖の添加が必要か
米麹には必要ありませんが、酒粕は甘味の添加が必要です。

という点が挙げられます。
この2つの点だけで見ると「アルコールも無くて砂糖も入れない麹甘酒の方が体に良さそう…」と思ってしまいがちですが、酒粕の甘酒も決して負けてはいません。
まず、アルコールに関してはしっかり加熱すれば飛ばすことができますし、砂糖の添加も調節の効くものです。
また、酒粕甘酒は麹甘酒に比べて代謝機能を助けるビタミンB群や赤血球をつくる葉酸といった女性に嬉しい作用を持つ栄養素が多く含まれています
さらに、高血圧や認知症の予防効果があるのではないかとされ、研究が進んでいる最中です。


【米麹】

麹甘酒に含まれている糖は8割がブドウ糖で、その他、オリゴ糖、ビタミン類も含まれているため、「飲む点滴」と言われています。
江戸時代の7~9月に夏バテが引き金となって命を落としてしまう人も少なくない頃、現代でいうところのアミノ酸強化飲料・総合ビタミンドリンクとして甘酒が販売されたことから、俳句の季語に数えられているそうです。
疲労回復便秘の改善など、嬉しい効果のある飲み物といえますね。

ちなみに、一般的に流通しているのは酒粕甘酒の方です。
これは酒粕の方が安価で手に入りやすく、調理にかかる時間や手間が少ないために大量生産しやすいというメリットがあるからです。
発酵食品ブームで麹が脚光を浴びてからは麹甘酒を店頭に並べるお店も増えていますが、総じてコストは高めの傾向にあるようです。
栄養価や値段、そしてもちろん味の好み。
様々な面を考慮して、その時飲む甘酒を選べれば、立派な「甘酒通」と胸を張れるかもしれませんね。

甘酒は通年販売されているので、すぐに手に入る発酵食品の1つです。
ですが、継続的に飲むのも大変だと思います。
そんな時の私のおすすめは麹甘酒の浅漬けにしてしまうこと!
自分で浅漬けを作る時に麹の甘酒を少量加えるだけですが、角が取れて優しい味に仕上がります。
おつまみとしても美味しく頂けるので、いろいろなお酒と合わせてみてはいかがでしょう?

Text by はむこ/食育インストラクター