毎日とり入れたい「発酵食品」のすすめ③ ~ヨーグルト編~

発酵食品はおいしいだけでなく、栄養面でも嬉しいことがたくさん!
シリーズでお届けしている「発酵食品」のすすめ。
今回は、世界中で愛されている「ヨーグルト」をご紹介します。

【ヨーグルトの起源】

ヨーグルトは、紀元前数千年前にはすでにあったとされるほど、古くからある食品です。
木桶や革袋に入れておいた乳に偶然、乳酸菌が入り込んで発酵したのがはじまりと言われています。
日本でも飛鳥時代ごろから「酪(らく)」と呼ばれるヨーグルトのようなものが作られていましたが、その当時は国内で広まることはありませんでした。
その後、日本で本格的にヨーグルトが製造・販売されたのは大正時代で、一般的に普及したのは昭和の後半と、ごく最近のことです。
現在、世界中でヨーグルトが愛されているのは、ロシアの生物学者「メチニコフ」の功績によるもの。
ヨーグルトが健康長寿のために、いかに優れているかを研究・発表したことで、「ヨーグルト=体によい」が広まって行きました。

【ヨーグルトに欠かせない乳酸菌の効果】

ヨーグルトは、牛乳に乳酸菌を加えて発酵させた「発酵乳製品」です。
乳酸菌とは、「ブドウ糖などの糖類を利用して50%以上の乳酸を作りだすもの」と定義づけられており、自然界に広く存在し、人間の体内にも住んでいます。
乳酸菌は、腸内を酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑えるだけでなく、腸の働きを活性化して便秘の予防や改善に役立ちます。
そのほか、免疫力を高め、花粉症などのアレルギー抑制にも効果的です。
ヨーグルトには、骨や歯の強化に役立つ「カルシウム」肌を健康に保つ「ビタミンB2」が多く含まれています。
乳酸菌にはカルシウムの吸収を促す働きがあるので、より骨の強化を高めることが出来ます。


【よく見かける乳酸菌の種類とその特徴】

ひとくくりに乳酸菌と言っても、その数は数百~数千種類もあると言われ、その効果はさまざまです。
スーパーやコンビニなどでよく見かけるヨーグルトに使われている乳酸菌とその効能をいくつかご紹介します。

●LG21
本来胃酸などに弱い乳酸菌ですが、このLG21乳酸菌は胃酸に強いのが特徴です。
そのため、生きたまま乳酸菌が腸内に運ばれ、胃潰瘍や胃炎などの原因であるピロリ菌を減らす働きをしてくれます。

●R-1
免疫機能を活性化する多糖体を多く作ることが出来る乳酸菌です。
腸内環境を整えながら免疫力をアップし、インフルエンザや風邪予防に効果が期待できます。

●BE80
ビフィズス菌の一種で、生きたまま腸に届く乳酸菌と言われています。
便の腸管通過時間を早める働きがあり、便秘を改善します。

●LB81
腸には防御機能として外敵からの攻撃を防ぐ腸管バリアと呼ばれる層があります。
このLB81乳酸菌はバリア機能を高めてくれる重要な物質「抗菌ペプチド」を増やしてくれるため、腸内のアンチエイジングに働きます。

【ヨーグルトの種類】

ヨーグルトは、容器に中身を入れてから発酵させる「後発酵タイプ」と、発酵させたあとに容器に入れる「前発酵タイプ」に分けられます。
さらに、作り方によって5つのタイプに分類されます。

●プレーンヨーグルト
砂糖や香料などの添加物を加えず、乳を乳酸菌で発酵させただけのシンプルなヨーグルト。
主に、後発酵で作られます。

●ハードヨーグルト
乳に甘味料や果汁、ゼラチンや寒天を加えてプリン状にかためた、日本で最初に販売されたヨーグルト。
最近では、ゼラチンや寒天を使わないものもあるようです。
前発酵、後発酵どちらもタイプもあります。

●ソフトヨーグルト
発酵してかたまったヨーグルトをかき混ぜてなめらかにし、果物や甘味料を加えたヨーグルトです。
前発酵で作られています。

●ドリンクヨーグルト
ヨーグルトを攪拌して液状にした、前発酵タイプのヨーグルトです。
これに甘味料や果汁などを加えて飲みやすくしたものが多く売られています。

●フローズンヨーグルト
ヨーグルトに空気を含ませて冷凍した、アイスクリーム状のヨーグルトです。
凍結しても乳酸菌は生きています。

食べ物で体内にとり入れた乳酸菌は数日で体外に排出されてしまいます。
乳酸菌はヨーグルトのほかに、キムチやぬか漬け、みそなどにも多く含まれています。
自分にあった食材で継続して乳酸菌を摂取し、腸内環境を整えましょう!

Text byまち/食育インストラクター