
そばは、7~8月に収穫される「夏そば」、9~11月に収穫される「秋そば」と年に2回楽しむことができます。
今の季節に食べられる秋そばは、風味がよく、甘味も強いのが特徴です。
今回はそばの歴史や種類、郷土料理などについてご紹介します。
【そばの歴史】
高知県内にある遺跡からソバの花粉が発見されており、縄文時代にはすでに栽培されていたと言われています。
当時は今のように粉にする技術がなかったため、実をそのまま粥や雑炊にして食べていたようです。
ソバの実を粉に挽く技術が伝来したのは、鎌倉時代。
南宋(現在の中国)で修業をしていた僧が「水磨様(すいまよう)」の設計図を持ち帰ったことからとされています。
水磨様とは、水車で動く石臼を使ってソバなどを製粉する技術のことです。
この技術が伝わると、「そばがき」や「そば団子」にして食べられるようになりました。
室町時代には「そば切り」、江戸時代になるとそば屋が誕生し、それまでに主流であったうどんより、そばが多く食べられるようになっていきました。
【ソバの種類】
ソバはタデ科ソバ属の植物であり、3つの種類に分けられます。
1つは私たちがいつも食べている「普通ソバ」、もう1つはお茶などでなじみがある「韃靼(だったん)ソバ」。
そしてあと1つは、あまり聞きなじみのない「宿根(しゅっこん)ソバ」です。
このうち「韃靼ソバ」と「宿根ソバ」はあまり食べられていませんが、それはなぜだかご存知ですか?
韃靼ソバは普通ソバに比べて味が苦く、敬遠されたようです。
宿根ソバは花は咲きますが、実の量が少なくそば粉がとれないため、そば作りには適しませんでした。
【そば粉の割合で「そば」はどのように変わる?】
そば粉はグルテンなどの繋がる成分が少ないため、そば粉だけで打つと、そばがブツブツと切れやすくなってしまします。
そのため、小麦粉をつなぎにしてそばを打ちますが、割合によってどのような違いがあるのでしょうか?
●二八そば
そば粉8割に対し、小麦粉2割を使ったそばで、そばの多くはこの割合で作られています。
小麦を加えることでそばが切れにくいだけでなく、なめらかでつるりとしたのど越しのよい食感に仕上がります。
●十割そば
そば粉だけで打ったそばのことです。
つなぎがない分、そばの味や香りを存分に楽しむことができます。
また、そば粉の粒子のザラザラや、歯切れのよい食感も特徴です。
そのほか、そば粉9割、小麦粉1割で作る「九割そば」、そば粉5割、小麦粉5割の「同割そば」など、配合によってさまざまな呼び方があり、風味や食感も異なります。
【全国にたくさん!そばを使った郷土料理】
日本各地にそばを使った、その地域ならではの料理があります。
今回はたくさんあるそば料理のなかから、3つご紹介します。
●へぎそば(新潟県)
へぎそばとは、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使ったそばを「へぎ」と呼ばれる器にひと口分ずつ盛り付けた料理です。
布海苔を入れることで、ツルツルとしたのど越しと、普通のそばにはない強いコシが生まれます。
●にしんそば(京都府・北海道)
にしんの干物である「身欠きにしん」の甘露煮をそばの上にのせた料理です。
京都府で誕生し、北海道に伝わったとされています。
温かいそばが一般的ですが、冷たいそばに身欠きにしんの甘露煮をのせた、冷やしにしんそばも人気があるようです。
●出雲そば(島根県)
ソバの殻がついた玄ソバを挽いた「挽きぐるみ」と呼ばれるそば粉を使っており、一般的なそばより色が濃く、香りや風味が強いのが特徴です。
割子と呼ばれる丸い漆器にそばを盛り、薬味とそばつゆを直接かけていただく「割子(わりご)そば」、ゆでたそばを水洗いせずゆで湯ごと器に盛る「釜揚げそば」が有名です。
【そばの栄養】
そばの主な栄養素は炭水化物ですが、たんぱく質やビタミンB群、ミネラルが多く含まれています。
そのほかポリフェノールの一種である「ルチン」も豊富です。
ルチンは血管をしなやかに保ち、高血圧や動脈硬化などの予防に効果が期待できます。
また、そばは白米やうどんなどに比べてGI値が低く、食後の血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
10月は新そばの時期であることと、そばの「ば(8)」の語呂合わせから、10月8日は「そばの日」です。
ぜひ、この機会にいろんなそばを味わってみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター








