特有の風味と食感が魅力!「銀杏」を食べよう!!

もっちりとした食感とほろ苦い味わいが魅力の銀杏。
銀杏はイチョウの木になる実で、イチョウが色づく10~11月に旬を迎えます。

【「生きた化石」と呼ばれるのはなぜ?】

銀杏のなるイチョウは中国原産の植物です。
太古の化石が世界中で発見されており、現在のイチョウと大きな変化がないことから、「生きた化石」とも呼ばれています。
中国から朝鮮半島を経て日本に伝わったとされますが、いつごろ渡来したのかは定かではありません。
イチョウには雌と雄の木があり、実がなるのは雌だけです。
銀杏は愛知県で多く栽培されており、「金兵衛」、「久寿」、「藤九郎」など、さまざまな品種が作られています。

【銀杏の選び方と保存方法】

銀杏を選ぶときは、殻の表面がよく乾き、白くてツヤがあるもの、実が詰まり、殻をふったときに音がしないものを選びましょう。
殻つきのものは、紙袋などに入れて野菜室で保存すると、数カ月は持ちます。
ただし、時間が経つにつれ、中の実は黄色くなってしまいますので、緑の色をいかしたいときは、早めに調理しましょう。
また、ゆでたものを数粒ずつラップに包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷凍庫で保存すると、食べたいときにすぐ使えて便利です。
使うときは、凍ったままの状態でごはんや茶碗蒸し、炒め物などに入れてください。

【銀杏の殻はどうやってむくの?】

かたい殻に覆われている銀杏。
生のものを食べたいけれど、むき方が分からないから購入を断念する方もいるのでは?
そこで今回は、殻と薄皮のむき方と加熱の仕方をご紹介します。

<銀杏の殻のむき方>
①タオルを敷き、その上に銀杏を置いて1つずつトンカチなどで叩いて割れ目を入れる。
※銀杏のとがった部分を上にし、そこをトンカチで叩くとキレイに割れます。
※1000円程度で銀杏の殻むき器も売られています。
また、トンカチが無い場合には、キッチンバサミの持ち手の下にあるギザギザの部分に銀杏を挟んで殻を割ることができます。

②割れた箇所から手で殻をむく。

<銀杏の薄皮のむき方>
➀殻をむいた銀杏を鍋に入れ、そこに銀杏の頭が少し出てるくらいまで水を注ぐ。

②鍋を火にかけ、沸いたら火を少し弱め、お玉の丸い方を銀杏にあててグルグル回しながらゆでる。

③4~5分経ち、銀杏に火が通ったら冷水にとり、残りの薄皮をむく

<電子レンジでの方法>
➀上記「銀杏の殻のむき方①」の方法で殻に割れ目を入れる。

②封筒に銀杏(1回につき10粒程度)を入れ、半分に折りたたむ。

③②の折った面を下にし、600Wの電子レンジで30秒程加熱する。
封筒を取り出して軽く振り、再び電子レンジに入れてさらに10~20秒加熱する。
※ポンポンと弾ける音がしてきたら取り出してください


【銀杏の嬉しい効能と気をつけたいこと】

銀杏はとても小さな実なので、摂取できる栄養素の量も少ないですが、糖質やたんぱく質をはじめ、β-カロテンやビタミンC、ビタミンB群などのビタミン類、カリウムや鉄などのミネラルとさまざまな栄養素が含まれています。

●β-カロテン
体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強化して風邪予防につながります。

●ビタミンC
強い抗酸化作用があるほか、コラーゲンの生成を助け、皮膚や血管を若々しく保ちます。

●ビタミンB群
銀杏にはビタミンB1と葉酸が多く含まれています。
ビタミンB1は疲労回復に、葉酸は貧血の予防のほか、胎児の発育に欠かせない栄養素です。

●カリウム
余分なナトリウムと水分を排出してむくみを解消するほか、血圧を下げ高血圧を予防します。

ただし、おいしいからといって食べ過ぎてしまうと、銀杏中毒になるおそれがあります。
中毒の原因は、銀杏に含まれる「4´-O-メチルピリドキシン」という成分です。
これがビタミンB6に似た形をしているため、ビタミンB6の働きを邪魔してしまいます。
このことにより、嘔吐や下痢、呼吸困難、痙攣などの症状が現れることがあります。
1日に食べるのは10粒程度にし、食べ過ぎないように気をつけてください。
また、銀杏中毒は、大人より小児のほうが起こしやすいとされています。
大人よりも食べる量を減らし、特に中毒を起こしやすい5歳以下の子どもには与えるのを控えたほうがよいでしょう。

水煮の銀杏は通年手に入りますが、生の銀杏はこの時期ならでは。
殻をむくのは少し大変ですが、食感や風味はやはり生のものが格別です。
食べ過ぎには気をつけ、秋の味覚を楽しんでください。

Text by まち/食育インストラクター